
2022年5月に開催された株式会社オカモトヤオンライン展示会【OfficeTrip~Women'sWeek~】開会式として実施されたトークショーの模様をFellneECサイトでコラムとして公開します。
記者発表イベントとして開催しましたが、女性活躍、女性ヘルスケアなどに関する話題など現代の社会問題に言及するトークイベントだった事もあり、ECサイトをご覧の皆様には是非ご覧いただきたいと思います。
業界を超えて実施された内容を是非ご堪能ください!!!
鈴木:中村様、森田様、よろしくお願いします。今回のテーマである「働き方の今とこれから」という題名でお話を伺います。まず中村様に質問します。ダイバーシティの推進などの取り組みをされていますが、海外におられたご経験の中で現在の日本における働き方の課題についてどのように感じていますか?
中村:今の働き方は、鈴木さんがおっしゃったように変容しており、いい面もあれば悪い面もあるといえると思います。特に今一番感じていることは、コロナは終わっていませんが、ウィズコロナとして働き方が変わった中で、新しい働き方の課題が見えてきていると思います。弊社はフェムテック関連の事業を展開している企業ですが、オンラインミーティングを当たり前のように6時間休みなく通して行われることで、「実は経血が漏れてしまう悩みが増えました」、「上手く休みたい気持ちがあるがオンライン会議の場合は常にカメラをONにしていなくてはならない」、「常に誰かとつながっていなくては」、「誰かの許可を得ないと少し休むこともできなくなりました」という声が多く寄せられます。このように、新しい環境だからこそ見えてきた働き方の課題を感じています。今まで「こうするべき」、「仕方ない」と感じていたものに対して問いを立て始めた方が増えてきた印象があります。

鈴木:ありがとうございます。トイレに行けないということは悲しい現実ですね。
では変わりまして森田様へも伺います。株式会社オカムラ様にて働き方について研究されていますが、コロナ前後というイメージの中でオフィスの在り方が変化したという点についてお聞かせください。
森田:私からオフィスの環境面についてお話をします。先ほどから話題に出ているハイブリッドワークの類が、大きな変化の元になっていると思います。お手洗い問題についてはオフィスでも起こっていると思います。会社のパソコンでオンライン会議を行う方もおられ、その会議が終わった後に1分の余裕も開けずに次のオンライン会議に入るという場合を、多くの方が経験していると思います。それは在宅勤務でもオフィスでも、同じように課題になってきているという印象です。さらに、オフィス全体で変わったことを二つご紹介します。一つはオフィスの面積です。皆さんの記憶にもあると思いますが、新型コロナウイルスが流行してすぐに、大企業の多くがオフィスは不要だと宣言し、その時期には「オフィス不要論」と言われていました。そういった形で一気にオフィスを無くすブームのようなものがあったように思います。現在は、先ほどのお二人の話にあったように、「コミュニケーションはそれでよいのか」、「オンラインの会議はそれでよいのか」と改めて課題として感じている方が多くなり、一律に面積を減らすのではなく、どのような機能をオフィスに持たせ、どの程度の面積で作ればよいのかを再構築するという考えが生まれています。我々がライトサイジングと呼んでいるものです。もう一つ、もう少し生活に近いところでいうと、オフィスの中に様々な機能が増えてきました。このオフィスでは私のちょうど横の位置に喫煙ブースがあります。このようなものも今まではどこに配置するべきものなのか、オフィスに必要なのか、ということや、オンラインのブース、仮眠室やカフェの充実などといったように、どのような機能を付けていけばよいのかということについて、新しいものが増えてきている印象があります。

鈴木:今回の私たちのオフィスも、ウェブ会議用のブースを増やすなど、前回のリニューアルのときとは異なり、新型コロナウイルス流行の後でニーズが変わってきていると非常に感じています。続きまして、中村様へ女性の健康について伺います。女性の健康課題についてfermata様へワークショップ等の依頼が増えていると伺っています。女性の悩みの中でもどのような悩みが増えている傾向にあるのか、さらに、その悩みの解決策について企業で取り組まれている事例等を紹介してください。
中村:今でも健康課題の中で大きく取り上げられる機会が多いのは月経です。月経についてもどのような悩みがあるかはあまり理解できていないので、それに対しての解決策は増えてきている印象です。その中で企業が取り組んでいるテーマで一番多いのも月経ですが、私たちのような第三者が個別で依頼企業の内部に入りリアルに従業員の皆様と直接話をすると、その他に多く聞かれることが大きく2つあります。ひとつは産後うつと職場復帰うつです。職場復帰うつは、職場復帰してから1~3か月後にあるようです。産後うつについては企業内で施策として整えられているところも多いのですが、その後の職場復帰うつに対しては全く施策は無く、それにより離職が大変増加し離職率が上がっています。もうひとつは、今年日本政府が力を入れると発表していた更年期障害です。以前森田さんとも盛り上がった話ですが、日本における女性活躍において数値目標はとても大事なことです。
例えば「女性管理職を30%程度増やします」とすると、今の日本企業で女性管理職にプロモーターされる方たちの主な年齢層が40~50代となったときに、更年期期間と重なってしまってい、5人に1人が更年期の症状を理由にプロモーションを断っている、という事実があります。このような事実があるにも関わらず、企業として更年期障害の時期を迎えている従業員に対しての施策は何かしていますか、という質問について、ほとんど何もしていない企業が多いのです。それに対して、従業員自身も誰かに相談したいがどうしたらよいかよく分からないので教えてほしい、という声が大変多いようです。
鈴木:実際に取り組まれた中で好評だった事例はありますか?
中村:弊社では大変生々しいセミナーを実施しています。どんな内容かというと、実際に産後うつや職場復帰うつで悩んだ方にご登壇いただき、どのような気持ちになり、どのような過程でオーバーカムしたのか、企業に対してどのような思いを持っていたのか、といったことをすべてお話していただくという内容です。それはあまりに生々しいので、自分事に感じやすいのです。それに対して医療従事者の専門的な意見をどう取り入れていくか、というセミナーです。さらに更年期に関しては、最近ではNHKなどでも頻繁に取り上げられていますが、男性更年期というものも非常にピックアップされています。ご自身の更年期でも悩んでいるが同僚や上司という異性の更年期に対してどのように対応してよいのかわからないようです。これもコミュニケーション術を参加者で考えるワークショップといったものも行い、大変反響がありました。
鈴木:私も更年期の期間に入っていますが第2次ベビーブームの世代なので人口が多いこともあり、当然フューチャー(00:22:00)されます。働くことが当たり前な女性も男性もいるので、社会問題の課題として向き合う必要があると感じています。中村様に事例をお話しいただいたので、森田様にも最近のオフィスの在り方や構築についての課題に対して、どんな事例が増えてきているのかなどを教えてください。

森田:先ほどの話の余談にもなりますが、私が会社の中で女子学生に質問したときに、「椅子は黒にしてほしい」といった声がありました。やはり汚れが目立たないようにしてほしいというリアルな声をいただいたことがあります。中村様の話を聞いていて、そういえば私自身そのような意見を会社に還元したことが無いと思ったので、言ってみようと思いました。
鈴木:言いづらいのだと思います。
中村:言ってよいものなのか分からないという空気があると聞いたたことがあります。
森田:そういったことに対してどのようなコミュニケーションを取ると良いのかは問題だと思いますし、変えていかなくてはならないと思います。オフィスの事例ということですが、最近お客様や周りの方から社会的なキーワードとして「行きたくなるオフィス」というものを作りたい、という声をいただきます。ハイブリットワークで在宅でも仕事ができるという環境でも、オフィスに来た方がコミュニケーションは取りやすいかもしれない、と思っていても家庭のこともあり、仕事は家でした方が良いかもしれない、という相反する気持ちを皆さんはお持ちだと思います。その中で経営者の方は、もっとコミュニケーションを取りたいと感じているが、自発的にオフィスに行きたいと思ってほしい、という思いを具現化していきたい、ということだと思っています。事例をいくつかお話します。一つは、今日のお話にも少し関係することですが、社員とお客様との社会のようなもののQOLを向上させるようなオフィスを作ることができないかというコンセプトを立てて作ったオフィスがある、ということを聞いています。
自席できちんと集中することもでき、コミュニケーションスペースのどこで仕事をしても良いという状況を作ったり、カフェのようにコミュニケーションを取れるところを大きな割合を割いて作る、という企業もあると聞いています。もう一つは異なる価値観や多様性のある中では住んでいる場所も様々あるので、都心と郊外をなるべくつなぎ、お互いに刺激を受けながら仕事をすることで郊外でも様々なイノベーションが起こる、コミュニケーションが充実する、という作り方をする企業もあると聞いています。最後に株式会社オカムラが関わっている事例として、シェアオフィスのような場合で、シャワールームや瞑想ができるスペースなど今までオフィスにはなかったものを作ることで、その人の働き方や考え方、体調に合わせて使えるような環境を作っていくということも増えていると思います。
鈴木:家にいてはできないけれど、会社に行くことでできる何か。それがコミュニケーションであったり会社が準備してくれている休める空間であったらそこは使った方が良いと思えるというプラスのものは、企業の風土も表すのでしょうし、社員のモチベーションにもつながっていくと思います。
森田:先ほどのお話に関して、事前に盛り上がったことなのですが、会社がそのスペースを作るということは、会社側がそのような使い方をしてよいと表明してくれている分かりやすい事例だと言えます。まずは場所を用意する。従業員がすぐには十分に使いこなせなかったとしても、いつの日か使う方が出てくるかもしれませんので、企業はまずは多様性に対応するという意思を表すことが重要だと思います。
鈴木:これまで様々な話を伺いましたが、女性活躍は日本の社会課題の中でも非常に大きな比重を占めると思います。中村様が今取り組まれているフェムテックという領域になりますが、それをどのように取り入れていくと、女性活躍推進やダイバーシティに対して効果があると考えていますか?
中村:繰り返しになる部分もありますが、私たちが企業と様々な話をしている中でマネジメント側も働く側も、働く環境でどんなウェルネスの負を抱えているかについて言語化できていない、ということを強く感じました。先の椅子の話も同じと言えます。聞かれると「確かに」と思っています。なぜこのことについて強く感じているかというのは、私たちは企業へ第三者として入っていき話を聞きます。「働く環境について何か悩みは無いですか?」と尋ねると99%の方は最初に「何もない」と言われます。私もそうですが、痛くて当たり前、辛くて当たり前、こうであるべきだ、ということがどこかで自分に入っているため、何も感じてはいないのですが、「椅子はどうですか?」といったように「これはどうですか?」というように細分化することでどんどん言語化できていきます。ですので、私たちが感じているのは、女性活躍やダイバーシティアンドインクルージョンのカルチャーを作っていくためにも、まずは女性だけでなく従業員が働く環境でウェルネスのどのような悩みやもやもやを抱えているのかを言語化し、それに対して現在企業で行っている施策はマッチしているのか、従業員が求めているニーズに合っているのかを見直しをするタイミングが今なのではないかと考えています。キャリアアップのためのセミナーといったプログラムは多くの企業が行っていますが、全員がキャリアアップをしたいとは限らない。やはりウェルネスを軸としたキャリアを積みたい方も沢山います。ウェルネスプログラムともいえるウェルネスを軸としたキャリアはこのようなものがある、ということを会社が寄り添いながら従業員のニーズに耳を傾けていくことが非常に大事だと思っています。
鈴木:今回のセミナーにも入っていますが、女性の年代における体とキャリアを重ねていくとどうしてもどの世代でも健康課題が付きまとってしまいます。それを事前に知っておくことやそのときに自分はどうするか? 誰に相談するか? といった術を事前に知っておくことが重要だと思います。そのようなことが言いやすい環境づくりが必要だと思います。森田さんに質問します。今後株式会社オカムラの中や世界的に、働く空間はどのようになっていくのでしょうか?
森田:大変難しい質問をいただきました。

森田:先ほどの悩みを言語化できない、ということはダイバーシティインクルージョンの中で非常に多くあることです。私も実感しています。その中で最近株式会社オカムラが提案しているなかで「エシカルワークスタイル」を進めていこうという話があります。まっとうな働き方とは何か、私たちはどのようにすれは社会的にも自分自身に対しても周囲に対してもまっとうでいられるのか、ということに対して研究所で議論しているのです。その中には地球環境のような大きな規模の話や健康の話もありますが。もう一つは利他、周りの方です。利己と利他の利他です。利他ダイバーシティもキーワードだと話しています。そのようなことはなんとなくタブー視されていたり、自分が表明しても相手は受け取りたくないという場合もあるので、悩みを言語化できないという状況は空間としても非常に問題があるのではないか。そのようなことともつながりがあると思います。そのようなことが話せるようになり、心理的安全性を保てるようにワンオンワンのブースを作ろう、といった直球の課題を解決することしかできていないのですが、そこをもっと大きく捉えて、例えば中村さんなどの専門家の皆さんと協力する中で、そのような空間ができていくのではないかと思いました。
鈴木:私たちは健康経営も推進しており取り組んではいるのですが、最初は会社が健康に介入してよいのかと私自身も感じていました。今回のセミナーやワークショップについてもそう思っていましたが、そこを解決するというか、少しでも共有することを積み重ねていかないと先に進まないだろうと思います。健康や利他、他の方について考えるといったことです。そのようなことの重要だと感じました。短いセッションにはなりましたが、お二人が感じている働き方のこれからについて、壮大なテーマにはなりますが、もちろん個人の見解も交えて、取り組んでいった方が良いのではないかと思うことについて最後にお聞かせください。中村様からどうぞ。
中村:これは日本だけでなく世界のフェムテック業界に関しての課題でもあります。私は今30代ですが、これから働くという中で人生100年と言われている中で、自分は何歳まで働くのかが分からないと思います。もしかすると80歳まで現役で働くかもしれません。ウェルネスの課題は、更年期から老年期、ポスト更年期、と60歳くらいで止まっています。これより先の課題がまだ研究もされておらず、言語化もされていません。目の前の課題に取り組むことも必要ですが、ここ1~2年後には人生100年を見据えて、長く自分らしく働くためのウェルネスの課題は何なのか、それがどのように働き方に影響するのか、ということを考えていく必要があると思います。
鈴木:壮大なお話でした。もちろん日本の社会課題ですし、労働人口も減っている、増えていない、という現状では、長く働いて自分のことは自分でできるように、ということは必要なことと思います。では、森田様お願いいたします。
森田:人生100年時代というキーワードは毎日見かけますが、その通りだという一言に尽きます。繰り返しにはなりますが、人生100年時代が到来し、ウェルネスの課題は中村さんが言われたように女性だけのものではなくなっています。入社してすぐの方から、その後どうしていくかということはアクティブシニアの方まで続いていくことで、俯瞰して自分でしっかりと捉えてみるということが大事なのだろうと思います。それが働き方に少しずつでも影響していく、ひいてはそれをサポートできるような環境を作ることでさらに大きく盛り上がってほしいと思っています。研究所にいる中で、最初に性別、年齢、どこに住んでいるかなど様々な属性で切り分けるということを一般的に行ってきましたが、果たしてそれで良いのかという問題に突き当たっているのだと思っています。皆さんが感じている課題に対して、うまく数字にできないことでも、働き方を変えていくために私たちにどのような提案できるのか、ということも課題だろうと思っています。 A:属性をにとらわれずなんでも受け入れる社会、そのような考え方に慣れていく、ということが大変重要で、まずは認める、許容するという形で進む必要があるということですね。健康についてはもちろん働き方も、介護や育児をしながらと千差万別で、ハードルも沢山あると思います。その辺りについても社会課題ということで非常に勉強になりました。
